仲の良い漁師(1)
仲の良い漁師(1)
2023/12/26(火) 08:30
(*神社やお寺に由来する伝承や日本に残る昔物語。今なら無料で全て読むことができます。メニューの『神社・お寺』から)
いまの千葉県、上総の国の内海に、仲の良い漁師たちがいた。名前は源八と吾作。二人とも多くの子供や孫に恵まれて長生きをし、七十の寿命が尽きて、一緒に仲良くあの世に旅立つ事になった、という。
小さな白い光の方角へ引き寄せられ、その先に三途の川が流れ、岸には川守のおばあがいた。
「渡し賃をよこしな」
「へい、どうぞ」
額に白い天冠をつけた源八が、首からぶらさげた頭陀袋(ずだぶくろ)に手をつっこみ、六文銭をおばあに手渡した。
「いけ」
老婆は銭を改め、その先を促した。
船を降りて、地面に歩を鎮めると、改めて二人で顔を見合わせた。
互いに経帷子(きょうかたびら)に、手甲(てっこう)、脚には脚絆(きゃはん)という出で立ち。網笠をかぶり、草履を履いて、利き腕には杖を持っていた。
「どこからどうみても、死装束だな」
吾作が笑った。
「姿を見る限り、冥土に旅立ったのは間違いなさそうだ」
しっかりものの源八が口を開いた。
「そうでなければ、誰が好き好んで、こんな格好で歩くか」
明るく抜け目ない性格の吾作も言い返す。
「よく似合っている」
そう言いあい、二人で笑い声をあげた。すると、ドスの効いた響きが背後で聞こえた。
「静かに歩け。大きな門の先に、閻魔様がいらっしゃる」
門番でもある赤鬼がへの字口で、二人を制した。
「お前も俺も、まじめに生きてきた」
吾作が自信ありげに口を開いた。
「極楽に行けるだろうと安心して来たものの、まずは閻魔大王の審査があるらしい」
ひそひそと小声で話していると、そこで二人は、筋肉隆々の鬼たちに連れられ、閻魔大王の前に引き出された。
つづく
(*メニュー欄『神社・お寺』から物語のつづきや他の昔物語を今なら全て無料で読むことができます。)
物語についてのご意見はこちらから
いまの千葉県、上総の国の内海に、仲の良い漁師たちがいた。名前は源八と吾作。二人とも多くの子供や孫に恵まれて長生きをし、七十の寿命が尽きて、一緒に仲良くあの世に旅立つ事になった、という。
小さな白い光の方角へ引き寄せられ、その先に三途の川が流れ、岸には川守のおばあがいた。
「渡し賃をよこしな」
「へい、どうぞ」
額に白い天冠をつけた源八が、首からぶらさげた頭陀袋(ずだぶくろ)に手をつっこみ、六文銭をおばあに手渡した。
「いけ」
老婆は銭を改め、その先を促した。
船を降りて、地面に歩を鎮めると、改めて二人で顔を見合わせた。
互いに経帷子(きょうかたびら)に、手甲(てっこう)、脚には脚絆(きゃはん)という出で立ち。網笠をかぶり、草履を履いて、利き腕には杖を持っていた。
「どこからどうみても、死装束だな」
吾作が笑った。
「姿を見る限り、冥土に旅立ったのは間違いなさそうだ」
しっかりものの源八が口を開いた。
「そうでなければ、誰が好き好んで、こんな格好で歩くか」
明るく抜け目ない性格の吾作も言い返す。
「よく似合っている」
そう言いあい、二人で笑い声をあげた。すると、ドスの効いた響きが背後で聞こえた。
「静かに歩け。大きな門の先に、閻魔様がいらっしゃる」
門番でもある赤鬼がへの字口で、二人を制した。
「お前も俺も、まじめに生きてきた」
吾作が自信ありげに口を開いた。
「極楽に行けるだろうと安心して来たものの、まずは閻魔大王の審査があるらしい」
ひそひそと小声で話していると、そこで二人は、筋肉隆々の鬼たちに連れられ、閻魔大王の前に引き出された。
つづく
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いまの千葉県、上総の国の内海に、仲の良い漁師たちがいた。名前は源八と吾作。二人とも多くの子供や孫に恵まれて長生きをし、七十の寿命が尽きて、一緒に仲良くあの世に旅立つ事になった、という。
小さな白い光の方角へ引き寄せられ、その先に三途の川が流れ、岸には川守のおばあがいた。
「渡し賃をよこしな」
「へい、どうぞ」
額に白い天冠をつけた源八が、首からぶらさげた頭陀袋(ずだぶくろ)に手をつっこみ、六文銭をおばあに手渡した。
「いけ」
老婆は銭を改め、その先を促した。
船を降りて、地面に歩を鎮めると、改めて二人で顔を見合わせた。
いまの千葉県、上総の国の内海に、仲の良い漁師たちがいた。名前は源八と吾作。二人とも多くの子供や孫に恵まれて長生きをし、七十の寿命が尽きて、一緒に仲良くあの世に旅立つ事になった、という。
小さな白い光の方角へ引き寄せられ、その先に三途の川が流れ、岸には川守のおばあがいた。
「渡し賃をよこしな」
「へい、どうぞ」
額に白い天冠をつけた源八が、首からぶらさげた頭陀袋(ずだぶくろ)に手をつっこみ、六文銭をおばあに手渡した。
「いけ」
老婆は銭を改め、その先を促した。
船を降りて、地面に歩を鎮めると、改めて二人で顔を見合わせた。
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