巫女の呪いと雀(3)
巫女の呪いと雀(3)
2023/08/29(火) 08:30
(*神社やお寺に由来する伝承や日本に残る昔物語。今なら無料で全て読むことができます。メニューの『神社・お寺』から)
その夜、村にふらりとやってきた旅の僧を名主が家に泊めた。
この件を話すと、
「それは巫女の祟りじゃ」
と老僧は、茶をすすり、告げた。
「おそらく、巫女は片目を失っても生きてくれている息子を、当時、心の底からかわいがっていたのだろう。子とはそういうものじゃ。しかし、村人の多くは見た目でそのせいとやらを迷惑だと判断し巫女の知らない場所でつらくあたっていたのじゃろう。そういう光景は各地を渡り歩いていると目にするものじゃ。その鬱積が、せいという若者の寿命を短くするに至ったのじゃ。巫女はどこかで知っていたのかもしれない。集団とは時に、残酷な誤ったことを正義という名のもとに、犯してしまう。その報いであろう」
「どうしたらよろしいでごぜえやしょう?」
名主が囲炉裏の前でうなだれた。
「社(やしろ)をつくり、その巫女と息子を祀るとよいであろう」
早速、次の日から村人総出で、山から木材を伐りだし、お堂の建設にあたった。
お堂ができあがると、村人の一人があっと指をさした。
「屋根の上に雀がいるぞ」
一羽の雀がその社の茅葺屋根にとまった。
「せいじゃねえっが」
村人は一同叫び、平伏した。
片目の雀は黙って、村人たちを見下ろしていた。
その後、湯は途絶えたものの、村の豊作が続いた。
それ以来、片目の雀が作物を食い荒らすこともなくなった、という。
そのお堂は「雀堂」と名付けられ、いまでも東北のある場所にひっそりと佇んでいる。
了
(*メニュー欄『神社・お寺』から物語のつづきや他の昔物語を今なら全て無料で読むことができます。)
物語についてのご意見はこちらから
その夜、村にふらりとやってきた旅の僧を名主が家に泊めた。
この件を話すと、
「それは巫女の祟りじゃ」
と老僧は、茶をすすり、告げた。
「おそらく、巫女は片目を失っても生きてくれている息子を、当時、心の底からかわいがっていたのだろう。子とはそういうものじゃ。しかし、村人の多くは見た目でそのせいとやらを迷惑だと判断し巫女の知らない場所でつらくあたっていたのじゃろう。そういう光景は各地を渡り歩いていると目にするものじゃ。その鬱積が、せいという若者の寿命を短くするに至ったのじゃ。巫女はどこかで知っていたのかもしれない。集団とは時に、残酷な誤ったことを正義という名のもとに、犯してしまう。その報いであろう」
「どうしたらよろしいでごぜえやしょう?」
名主が囲炉裏の前でうなだれた。
「社(やしろ)をつくり、その巫女と息子を祀るとよいであろう」
早速、次の日から村人総出で、山から木材を伐りだし、お堂の建設にあたった。
お堂ができあがると、村人の一人があっと指をさした。
「屋根の上に雀がいるぞ」
一羽の雀がその社の茅葺屋根にとまった。
「せいじゃねえっが」
村人は一同叫び、平伏した。
片目の雀は黙って、村人たちを見下ろしていた。
その後、湯は途絶えたものの、村の豊作が続いた。
それ以来、片目の雀が作物を食い荒らすこともなくなった、という。
そのお堂は「雀堂」と名付けられ、いまでも東北のある場所にひっそりと佇んでいる。
了
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その夜、村にふらりとやってきた旅の僧を名主が家に泊めた。
この件を話すと、
「それは巫女の祟りじゃ」
と老僧は、茶をすすり、告げた。
「おそらく、巫女は片目を失っても生きてくれている息子を、当時、心の底からかわいがっていたのだろう。子とはそういうものじゃ。しかし、村人の多くは見た目でそのせいとやらを迷惑だと判断し巫女の知らない場所でつらくあたっていたのじゃろう。そういう光景は各地を渡り歩いていると目にするものじゃ。その鬱積が、せいという若者の寿命を短くするに至ったのじゃ。巫女はどこかで知っていたのかもしれない。集団とは時に、残酷な誤ったことを正義という名のもとに、犯してしまう。その報いであろう」
「どうしたらよろしいでごぜえやしょう?」
名主が囲炉裏の前でうなだれた。
その夜、村にふらりとやってきた旅の僧を名主が家に泊めた。
この件を話すと、
「それは巫女の祟りじゃ」
と老僧は、茶をすすり、告げた。
「おそらく、巫女は片目を失っても生きてくれている息子を、当時、心の底からかわいがっていたのだろう。子とはそういうものじゃ。しかし、村人の多くは見た目でそのせいとやらを迷惑だと判断し巫女の知らない場所でつらくあたっていたのじゃろう。そういう光景は各地を渡り歩いていると目にするものじゃ。その鬱積が、せいという若者の寿命を短くするに至ったのじゃ。巫女はどこかで知っていたのかもしれない。集団とは時に、残酷な誤ったことを正義という名のもとに、犯してしまう。その報いであろう」
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名主が囲炉裏の前でうなだれた。
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