地名発祥と訓読みについて

約３０万種類ある名字の由来を調べると、そのうち約８５％は同一の地名から発祥していることがわかります。
一見、珍奇な名字であっても調べてみると同一の地名が全国のどこかに存在しているものです。
ほかに職業由来の姓（服部や鍛冶）、職名姓（刑部や左衛門）、屋号姓（能登谷、万）、佳字化姓（大久保、喜多）、当て字姓（端詰、小鳥遊）などがあります。
すなわち８５％の名字は約２０００万以上といわれる地名という母胎から生まれた子供なのです。
名字の中にはすでに消滅した地名も多く含まれています。

　また２文字で表記される名字が８７％と最も多く、訓読みされる名字が８０％です。

　訓読みとは大和言葉のことで、たとえば田中という名字には
訓読みの「たなか」

音読みの「でんちゅう」
重箱読みの「でんなか」
湯桶読みの「たちゅう」

という４通りの読み方がありますが、圧倒的多数の田中さんは「たなか」と訓読みで読ませています。
これは田中地名がやはり圧倒的に「たなか」と訓読みするからです。
古代から続く地名は日本人の固有の言語である大和言葉に輸入した漢字を当てて作られました。
そのため地名の大多数は訓読みなのです。
音読みや重箱、湯桶(ゆとう)読みの名字は比較的新しい名字か、独特な由来を持つ名字と考えられます。

２文字表記は７１３年に朝廷から「地名は二文字の佳字にせよ」という命令が下されたため、母胎である地名に２文字が多いためです。