全国名字めぐりの旅 第18回 宮城県（3）

小野寺さんは宮城県で十三番目に多い名字だ。
約六千世帯の小野寺さんがいる。

小野寺さんは平安時代、朝廷に叛旗をひるがえした平将門を討伐して武名をあげた藤原秀郷将軍の子孫であり、系図上では佐藤さんと同族である。

もともとは首藤(すどう)姓を名乗り、三河国(愛知県)に住んでいたが、源氏の郎党となって大いに活躍し、義寛という人物のとき下野(しもつけ)国(栃木県)に所領を賜って小野寺姓を名乗った。
この小野寺義寛が全国にいる小野寺さんの始祖である。
その子、通綱は鎌倉幕府を開いた源頼朝に従い、奥州藤原征伐で手柄をあげて現在の秋田県と宮城県に所領を与えられ、秋田系小野寺と宮城系小野寺に分かれた。

　秋田県の小野寺氏はナンバー１を目指して勢力を拡げ、戦国時代の小野寺景道のころには秋田県でも屈指の豪族となり、上洛して織田信長にも拝謁したが、目立ちすぎたため、その子義道の代になると近隣の敵対勢力に攻め込まれて領地を失い零落した。
そのために現在、秋田県で小野寺姓を名乗る家は少ない。

　一方、宮城県の小野寺氏は地元の大勢力だった葛西氏に属し、目立ちすぎることもなく常にナンバー２の地位に甘んじていたため、主家の葛西氏が滅ぼされた後も多くが生き延びて子孫を残した。
家紋はどちらの系統も「木瓜(もっこう)」紋をよく使い、宮城県では「三つ割り木瓜」のような変り種の木瓜紋を使っている家もある。