全国名字めぐりの旅 第178回 山梨県（2）

山梨県といえばぶどうと桃の生産量が日本一。おいしいぶどうから作るワインも有名だ。山梨県人はビール・ウィスキー・日本酒はそれほど飲まないが、ワインはよく飲む。日本一飲む。
ぶどう栽培の歴史も古く、一説には７１８年に修行僧が勝沼村（甲州市勝沼町）に滞在中、右手にぶどう、左手に宝印を持った薬師如来が夢に現れた。これを法縁と感じた僧は薬師如来の像を彫って地元の大善寺というお寺に安置した。これが話題となって勝沼でぶどう栽培が始まったという。万病を治す薬師如来は普通、手に薬(やっ)壷(こ)を持っているが、甲州では薬の代わりにぶどうを持っているわけだ。
ぶどうといえば雨宮家も有名だ。天文１８年（１５４９）、雨宮良晴は信玄にぶどうを献上して太刀を賜った。子孫の勘兵衛もぶどう栽培で名をなし、江戸では甲州ぶどうを「勘兵衛ぶどう」と呼んだ。
この雨宮さんは長野県千曲市雨宮から出た第５６代清和天皇（８５０－８１）の流れをくむ清和源氏村上氏族の子孫で、村上義次の二男義正が雨宮摂津(せっつ)守(のかみ)と名乗ったことに始まる。家紋は丸に上文字と七曜(しちよう)をよく使う。