全国名字めぐりの旅 第45回 山形県（6）

山形県には梅津姓も多い。
とくに県南の長井市にはたくさんいる。
長井市の梅津氏は出羽の霊山といわれた羽黒山で修験者を統括していた山の長吏職、梅津中将の子孫ではないかと思われる。
梅津中将は京から出羽三山の監督役として派遣された人物である。

　歴史上、著名な梅津さんは隣の秋田県にいた。
秋田藩祖、佐竹義宣(よしのぶ)に仕えて、名家老と呼ばれた梅津政景である。

　記録によると、政景の出身地は現在の栃木県宇都宮市。
先祖は藤原姓で、もともとは伊達氏に仕えていたというが、定かではない。
父の代には浪人となり、政景は流浪の末に佐竹義宣に召抱えられた。
最初は身分の低い武士だったが、抜群の武勇と卓越した智略で頭角をあらわし、佐竹氏が現在の茨城県から秋田県へ移ったころには、家老に昇進する。
新参者政景の異例の出世をねたむ旧臣も多く、暗殺の計画も練られたが、それを察知した主君義宣は、そういう旧臣たちを殺してまでも政景を重く用いることをやめなかった。
その恩に報いるべく、政景も忠勤を励み、大坂夏の陣へ出陣したときには、鬼神のごとく敵をなぎ倒し、「佐竹の鬼」と恐れられた。
山形県や秋田県の梅津氏は「三つ剣(けん)」と「梅鉢」紋をよく使う。