全国名字めぐりの旅 第105回 福井県（4）

福井県人は昔から大坂に親近感を持ち、石川県人は京都にあこがれている。
そのため福井県人は石川県、とくに金沢に対抗意識が強い。
だから福井県人の前で金沢を誉めるのは禁句だ。
この意識には歴史的な背景もある。
そもそも福井市には江戸時代(１６０３－１８６７)、福井藩３２万石が置かれ、徳川将軍家の親戚である松平氏が藩主をだった。
この福井藩の藩祖は徳川家康の二男・結城秀康である。
秀康は二代将軍秀忠の兄に当るが、父家康から嫌われて将軍職を継げず、石川県の金沢藩前田氏を背後から牽制するために福井藩主となった。
福井県人にとって石川県人は江戸時代から仮想敵国だったのである。
その名残りが現代の県民性にも影響しているのだろう。

　福井県武生市に白崎という地名がある。
「しらさき」とは土の色が白い岬のことをいう。
この地から発祥したのが白崎さんである。
家紋は「唐花」「亀甲に花菱」「隅立て四つ目」をよく使う。

　山形県酒田市に代々五右衛門と名乗ったロウソク造りで有名な白崎家があった。
また明治時代の札幌には代書業（行政書士）を営んでいた退役軍人の白崎厚三郎がいた。
いずれもルーツは福井県の白崎である。