名字ランキング 第45位　藤井

名字博士と愛ちゃんが　藤井姓について話しています。

「藤は春の風物詩ね」

「四～五月になると薄い紫色の蝶みたいな形の花が房になって垂れ下がるからね。その咲き誇った姿の見事さは圧巻だよ。思わず息を呑むくらい美しい。古代の貴族が藤を好んだ気持ちがよくわかるな」

「貴族の藤原氏も藤にちなんでいるものね」

「そう。藤原氏は初代の鎌足(かまたり)が第３８代天智天皇から大和国高市郡藤原（奈良県橿原市）の地を賜ったことに始まる。かつては都が置かれ、藤が咲いていたんだろうが、いまは菜の花やコスモスが有名だ」

「ちょっと待って。だんだんと藤井さんじゃなくて藤原さんの解説になっていない？」

「そうなんだが、実はね。フジ原さんが住んでイた場所も藤井というんだ。そこで藤原さんの話をしていたわけ」

「そうなの。でも違う語源の藤井さんもいるのかな？」

「文字通り藤が咲いている場所に住んでいた人も名乗った。藤はね、高貴な花であると同時に役に立つ植物でもあった。若芽はあえ物、花は天ぷら、種子は珍味で食べたし、飢饉(ききん)のときには根も食べた。ツルや茎(くき)は丈夫だからカゴや衣服がつくれる。鑑賞して楽しめて、実用の役にも立つとは、本当にすばらしい植物だよ。そんな藤に囲まれて暮らしていたのが藤井さん。さらに井戸があって水にも恵まれていた藤井さんもいただろう。うらやましい限りだ。」