全国名字めぐりの旅 第6回 青森県（5）

青森県で三上姓は第九位の多姓。
江戸時代から津軽海峡を越えて道南地方に移住した家も多く、明治元年に松前藩が鷲の木に上陸した幕府脱走軍に攻撃された時、奮戦した松前法華寺の住職、三上超順が有名である。
超順は僧侶でありながら武芸の達人で、腕力が非常に強かった。
そこで松前藩主徳広から親衛隊の隊長に抜擢されたのである。
松前城の陥落後、殿様を守って館の新城に退き、城門の前に立ちはだかって押し寄せる敵兵を斬り倒した。
左手に持ったまないたで銃弾を防ぎ、右手の太刀で敵を斬る勇姿には敵も感動し、「今弁慶」と称賛された。
この戦いで討死した超順は後に明治天皇から従五位の官位を追贈された。

　青森県に住む三上家のルーツは数系統が報告されているが、最も繁茂したのは宇多源氏の佐々木一族である。
宇多源氏とは第五十九代宇多天皇の子孫で、八条宮と呼ばれた敦実親王の子が臣籍に降下して源姓を名乗ったことに始まる。
一口に源氏といっても清和源氏や嵯峨源氏、宇多源氏、村上源氏などがあり、それぞれ祖先にあたる天皇の名を冠している。
宇多天皇から出た源氏は近江(おうみ)国(滋賀県)に移住して勢力を扶植し、佐々木という名字を名乗った。
その一族が分家に際して三上と改姓し、青森県に移動したのが青森三上の始まりである。
家紋は「隅立て四つ目」や「梅鉢(うめばち)」など。
青森県で隅立て四つ目紋を使っている家は宇多源氏にゆかりがあるといわれ、大相撲の若貴兄弟の花田家も青森出身でこの家紋を使っている。