全国名字めぐりの旅 第22回 宮城県（7）

「しょうじ」と読む名字は表記がいくつもあって、文字を聞かないと、どう書いたら良いのか分からない。
庄子、庄司、荘司ならまだ分かるが、東海林と書いて「しょうじ」と読ませる家も多い。
東海林太郎という歌手が出て全国的に知られる読み方となったが、「しょうじ」と読む東海林さんの本拠地は宮城県である。
東海林(しょうじ)から庄子や庄司に改めた家もあれば、その逆の家もある。

　では「しょうじ」とは何か。

「しょうじ」とは中世、全国にあった荘園という私有地の現地管理者である。
時代劇によく出てくる江戸時代の代官みたいなものだ。
正しくは庄司と書く。
土地の所有者はほかにいるが、現地に住み着いていたので、領民に対しては絶大な権力をふるうことができ、尊敬もされた。
親から子へ世襲されることも多く、いつしか名字になってしまった。
不思議な東海林(しょうじ)姓はもともと山形県にあった東海林(とうかいりん)という荘園の庄司が名乗りはじめた名字。
この一族が活躍して有名となり、他流の「しょうじ」さんも真似て東海林と書くようになったのである。
日本人の名字の意外な由来を代表しているような名字である。

宮城県の庄司さんは「剣片喰」紋をよく用い、庄子さんは「片喰」紋を多用している。
ともに仙台藩の武士によく見られる名字である。