全国名字めぐりの旅 第116回 茨城県（4）

八世紀後半に成立した『竹取物語』は我が国最古の物語である。
主人公は「かぐや姫」。
この姫にプロポーズする五人の貴公子のなかに車持皇子がいる。
この皇子にはモデルがいて、藤原鎌足の息子不比等(ふひと)だといわれている。
車持皇子と書かれたのは不比等の母が車持氏出身だったからである。
この車持氏は天皇が乗る輿(こし)を作り、担ぐ仕事をしていた。
彼らの住む村は車持村と名付けられ、それがいつしか倉持と変化していった。

　倉持という名字から連想するのは「倉を持ったお金持ち」というイメージだが、実は車持氏に由来している。
こういう意外性が名字由来の面白さである。
日本で一番倉持姓が多いのは茨城県。
筑西市倉持から発祥した。
ルーツは第１０代崇神天皇の第一皇子だった豊城入彦(とよきいりひこの)命(みこと)という。
父が後継ぎを夢占いで決めたとき、豊城入彦命は山に登り、東に向かって槍と剣を振る夢を見た。
それを父に報告すると東国を治めるように命じられ、皇位は弟の活目命が継いで垂仁天皇となった。

　家紋は「つる柏」などの柏紋と「花菱」をよく使う。
ＡＫＢ４８の倉持明日香もこの子孫だろう。