全国名字めぐりの旅 第7回 青森県（6）

青森県を代表する小説家といえば太宰治であろう。
本名を津島修治といい現在の五所川原市金木町の出身である。
青森県には津島や対馬と書く「つしま」さんが多数住んでいる。
津島と対馬のルーツは同じことが多い。
昔の人は現代人のような学校教育を受けていないため、漢字の使い方に融通があり、当て字を多用した。
とくに名字や名前には当て字が使われることが多い。
たとえば津島という家のルーツを調べてみると対馬と名乗った先祖が出てくることがある。
津島は津島と書かなければならないと杓子定規に考えるのは、現代人だけである。

　「つしま」という名字は全国にある「つしま」という地名から発生した。
最も有名な「つしま」は昔の対馬国(長崎県対馬市)だろう。
この国は上県と下県という二つの島から成り立っている。
島が対(つい)になっているので「対の島」と呼ばれ、それがなまって「つしま」となったという。
ほかに尾張国(愛知県)にも津島という地名があり、ここは舟の停泊に適した津が多いことにちなむという。

　その昔、対馬国の国守(現代の知事のようなもの)に任命された者の子孫が対馬姓を名乗り、津島という土地に住み着いた者も津島姓を称した。
太宰の津島家も元々は九州出身の対馬姓で藤原氏の一族という。
金木へ移住後も対馬と書いていたが、いつしか津島と改め、大地主となった。
家紋は日本航空の社章の元になった「鶴の丸」である。
ほかに古くは「下り藤」や「抱き茗荷(みょうが)」紋も使っている。