名字ランキング 第189位　鎌田

名字博士と愛ちゃんが　鎌田姓について話しています。

「鎌田さんの鎌って、雑草を刈る鎌よね。それがどうして地名や名字になったのかしら？」

「カマタさんのカマはね、実は鎌じゃないんだ」

「違うの」

「蒲(がま)のことなんだよ。蒲は池や沼などの湿地帯に生える草で、人の役に立つ草だった。ソーセージのような赤(あか)褐(かっ)色の穂は硝石(しょうせき)と混ぜて火打石の火口になったし、乾燥させれば蚊取り線香の代用にもなった。若葉は食べられるし、花粉は漢方で蒲(ほ)黄(おう)といって止血剤や利尿剤に用いられる。また葉と茎(くき)でむしろやかご、すだれを作ることもできた」

「万能の草ね」

「そのうえ蒲の生えている場所は湿地帯だからね、耕せば実り豊かな水田に生まれ変わることが約束されていた。蒲は豊かさを保障してくれる魔法のような草だったわけだ」

「それじゃ地名にも付けたくなるわね。でもなんで蒲田にしないで鎌田にしたの？」

「蒲田も少ないが地名にはある。有名なのは東京の蒲田(かまた)だ。でも多くは鎌田に変えた。なぜかといえば鎌は蒲を刈り取るときや田んぼを耕すときに欠かせない道具だ。そのうえ敵に襲われれば武器にもなる。古人は鎌に農と武の二つの意味を込めたわけさ」

「でも蒲はガマで鎌はカマよね」

「蒲も古くはカマと呼ばれていたんだ。」