全国名字めぐりの旅 第187回 長野県（4）

長野県といえば、諏訪大社がある。全国に２万５０００以上もある諏訪神社の総本社である。
その縁起はこうだ。天(あま)照(てらす)大神(おおみかみ)の使いとして出雲（島根県）にやって来た建(たけ)御雷神(みかづちのかみ)は、大国主(おおくにぬしの)神(かみ)に国譲りを迫った。これに不満だった大国主神の子、建(たけ)御名方(みなかたの)神(かみ)は建御雷神に力くらべを挑んだが、反対に投げ飛ばされてしまう。その強さに恐れをなした建御名方神は科濃(しなの)国（長野県）に逃れ、この地から二度と出ないと誓って諏訪大社の祭神となった。この神話からもわかる通り、諏訪大社は出雲族系の神社である。天皇家にしてみれば、出雲族の武闘派の領袖を封じ込めた結界の地であり、その縛りが万が一にも解かれれば、国が大いに乱れると考えられていた。 その大社の大祝(おおほうり)（神職）を務めたのが建御名方神の子孫という諏訪氏である。諏訪氏は神事をつかさどる一方、分家を従えて武士団を結成した。これを諏訪神党という。長野県には、この諏訪神党の子孫が多く、その代表格が宮下さんである。家紋は諏訪梶の葉と抱き茗荷(みょうが)をよく使う。