名字ランキング 第49位　金子

名字博士と愛ちゃんが　金子姓について話しています。

「金子さんのご先祖は大金持ちで、金子(きんす)（お金）をいっぱい持っていたのじゃない？」

「金属つながりはあるけど、はずれ。金子さんのご先祖は鍛冶屋だよ。鍛冶屋は必ず仕事場に金屋子(かなやご)神(かみ)を祀(まつ)る。金屋子が略されて金子になったという説があるんだ」

「金子(きんす)をつくる職人さんだったのね」

「そう。鍛冶屋は農具もつくれば、武器もつくり、金子(きんす)のような貨幣もつくる。生活に欠かせない人だから大切にされ、高額な謝礼をもらって豊かだった。だからお金持ちというのは当たっているよ。西洋でも鍛冶屋は重要な職業だったから、英米で一番多い姓はスミス（鍛冶屋）さんだよ」

「武士にはいないの？」

「金子十郎家忠がいる。保元の乱で源義朝に従い、大活躍した豪傑だ。この金子氏は第五〇代桓武天皇(七三七―八〇六)の流れをくむ桓武平氏の子孫で、武蔵国入間郡金子郷（埼玉県入間市金子）から出た」

「金子郷は鍛冶屋の金子さんたちが住んでいた集落だったの」

「そうとも鉄(かね)粉(こ)で砂鉄が多い川に由来しているともいう。いずれにしても、金子家忠の末裔は大いに増えた。家紋は珍しい蜻蛉(とんぼ)を使う。トンボは真っ直ぐ前にしか進まないからね、敵陣に突撃する武士に好まれて勝虫と呼ばれていたんだ。勇ましい家忠の子孫にはぴったりの家紋だよ。金子さんで蜻蛉紋なら、家忠ゆかりの家柄だね。」