全国名字めぐりの旅 第47回 山形県（8）

須藤さんも山形県に多い名字である。

山形県に須藤さんが最初に住み着いたのは、１１世紀といわれている。
平安時代を代表する名将、八幡太郎義家（１０３９－１１０６）が康平５年（１０６２）に奥州（東北）の安倍一族を攻め滅ぼしたとき、山野に隠れた安倍の残党を討伐するため、須藤氏を現在の酒田市本楯にあった新田目城へ留め置いた。

その須藤氏の名前については、諸説があるものの、定説では須藤助清とされている。
助清は第３８代天智天皇に重用された藤原鎌足の流れをくみ、「この世をばわが世とぞ思ふ」と和歌に詠んだ御堂関白藤原道長の子孫という。
京で天皇の馬を飼育する主馬寮(しゅまのりょう)の長官、主馬首(しゅまのかみ)に任ぜられたことを名誉に思い、長官を意味する首を「しゅ」と読ませて、首藤(しゅどう)という名字を名乗った。
この首藤が後には主藤・守藤と書かれ、さらには「すどう」という読み方に転じて、須藤・周藤・数藤とも書かれるようになったのである。
現在では須藤という家が一番多い。

首藤助清の子孫が最も愛用した家紋は「一文字」紋である。
この家紋を使い始めたのは鎌倉時代といわれ、首藤・須藤一族が武家藤原氏の中でも、とりわけ家柄が高貴で、一門の中での席次が第一だったことにちなむという。
ほかに藤原氏の子孫らしく「上り藤」もよく使う。