全国名字めぐりの旅 第46回 山形県（7）

東海林さんは山形県から秋田県にかけて住んでいる。
秋田県のときに紹介してもよかったが、人数で見ると山形県のほうが多いうえに、秋田県の東海林姓は山形県との県境付近に密集しているので、山形県で紹介することにした。
両県の東海林姓はもともとは同族ではないか思われるが、現在は読み方が違う。
山形県では「とうかいりん」、秋田県では「しょうじ」と読む家が多い。
北海道の家も読み方で、どちらの県の出身かが、おおよそ分かる。

　由来も難しい。
名字研究の世界では、東海林姓は本来、山形県の出身で「とうかいりん」と読ませていたが、先祖に貴族の私領である荘園を管理する庄司を務めた人がいたので、一部の家が「しょうじ」と読ませるようになったというのが定説だが、確たる証拠はない。
東海林さんのなかには、『東海林姓考』のような本まで書いて、来歴を探った人もいるが、結局は分からなかったという。

　読み方の謎だけではなく、家系も判然としない。
東海林一族の祖先は現在の山形県西村山郡西川町にあった沼平館の館主、東海林隼人という人物だとされているが、この人物の家系がまた謎である。
地元の豪族白鳥氏の一族といわれているが、白鳥氏のルーツもまた分からない。
とにかく謎の多い名字である。

両県の東海林さんは「左万字」や「檜扇(ひおうぎ)」紋をよく使っている。