全国名字めぐりの旅 第16回 宮城県（1）

宮城県の男性はのんびり屋さんなので他人と何かを競う覇気はない。
それでいて頑固なところがあり、プライドも高い。
一方、女性は明るくて積極的。
遊ぶときには徹底してバカ騒ぎをするという。
女性が強いお国柄だ。
ちなみに東北地方で最も長生きするのは宮城県人である。

　仙台でよく見かける名字といえば、阿部さんだろう。
名物「笹かまぼこ」の老舗も阿部蒲鉾店。
阿部姓は宮城県で第五位の大姓である。
明治以降、北海道へ渡った家も多い。

　ところで阿部さんの家系を調べると戦国時代、宮城県の豪族だった葛西氏や大崎氏、留守氏の家臣という家が目立つ。
さらにさかのぼると諸説がある。
古くは第八代孝元天皇の子孫という安倍氏が東北にいた。
蝦夷を追討して北海道まで遠征した安倍比羅夫将軍の系統である。
比羅夫の子孫は岩手県に本拠を置き１０５１年に前九年の役を起こす。
古代東北最大の戦乱である。
安倍氏は源義家によって滅ぼされ、各地に潜んだ一族の中には安部や阿部と書き換えた家もあった。
この安倍氏の子孫が実は一番多いと思うが、仙台藩の安倍家は源氏、阿部家は藤原氏と称している。
滅んだ安倍氏の子孫であることを隠し、ルーツを変更したのかも知れない。
家紋は「丸に違い鷹の羽」を使う家が最も多く、「三つ銀杏(いちょう)」なども使う。