全国名字めぐりの旅 第187回 長野県（3）

長野県の○沢姓の由来を調べると、発祥地が隣の山梨県という場合がある。山梨県も山国だから○沢地名は数多い。そして戦国時代になると、武田信玄が登場して長野県の大半を領有した。その関係で、武田氏が滅ぶと、戦禍を逃れて長野へ移った家が多かった。
長野の柳沢さんも山梨から移った家だ。
歴史上の柳沢さんといえば、異例の大出世を遂げた柳沢吉保がいる。中級武士の妾腹の子に生まれた吉保は、家督も継がせてもらえず、そのまま部屋住みで一生を終える可能性が高かったが、５代将軍綱吉に気に入られたことで運命が開けた。
前例のないスピードで栄達を遂げ、老中上座になり、松平姓を許され、甲府藩（山梨県甲府市）１５万石の大名となったのだ。江戸時代約２６０年間を通じて、一代でこれほど出世した人物はいない。 吉保の家は山梨県北杜市武川町柳澤から発祥した。ルーツは第５６代清和天皇（８５０－８１）の流れをくむ清和源氏武田氏族である。武田一族の青木尾張(おわり)守(のかみ)安遠の二男信興が柳澤と称したという。戦国時代は信玄に仕え、その後、徳川家康に仕官した。家紋は珍しい柳沢花菱と四つ花菱を使う。