全国名字めぐりの旅 第121回 茨城県（9）

大森さんは全国各地にまんべんなく分布しているが、一番多いのは茨城県である。

　茨城県の大森さんは常陸太田市大森町から発祥した。
ルーツは第３８代天智天皇の重臣藤原鎌足(６１４－６９)の流れをくむ藤原秀郷の子孫である。
本家を小野崎氏といい、その分家で筆頭家老を務めたのが大森氏だった。
小野崎氏は常陸国（茨城県）の名族佐竹氏の重臣で、よく主家を支えたが、戦国時代(１４６７－１５６８)になると独自の行動が目立ち始め、佐竹氏から攻められた。
逃れて伊達氏を頼り、江戸時代(１６０３－１８６７)には水戸藩士となっている。
この小野崎氏追放のとき、大森氏は常陸国内で帰農した。
その子孫が現在、茨城県に住んでいる大森家である。

　隣の栃木県栃木市大森町からも藤原秀郷流の大森氏が出ている。
こちらは本家を戸室氏といい、戸室安綱の子が大森義勝と名乗ったことに始まる。
どちらも「左三つ巴」をよく使うので区別が難しい。
茨城県の大森さんは「左二つ巴」も使うが、これは静岡県の藤原姓大森氏も使う家紋。
結論として巴紋を使っている大森さんは藤原氏の子孫ということになる。