全国名字めぐりの旅 第120回 茨城県（8）

大和田さんも茨城県に多い名字である。
茨城県と福島県に密集して住んでいるが、ルーツは異なっている。
茨城県の大和田さんは日立市大和田町から発祥した。
第５０代桓武天皇(７３７－８０６)の流れをくむ桓武平氏の子孫という。
中世から佐竹氏に仕えて活躍。
慶長５年（１６００）に関ヶ原の戦いが起きると、佐竹氏は西軍石田三成に与して敗北。
戦後に秋田県への領地替えを命じられた。
このとき大和田氏は茨城県に残った家と秋田県へ移った家に分かれた。
秋田へ移った大和田家からは平田篤(あつ)胤(たね)が出ている。
篤胤は秋田藩士大和田清兵衛の四男に生まれ、叔父の平田家を継いだ。
彼の日本史や神道研究は平田国学といわれ、幕末の尊王攘夷運動に多大な影響を与えたとされている。

　福島県から出た大和田さんも紹介すると、こちらは白河市大和田から発祥したといわれ、東北の蝦夷討伐で勇名を轟かせた坂上田村麻呂（７５８－８１１）の子孫である。
戦前の旭川商業校長大和田誠寿は福島県出身なので、こちらの系統だろうか。
茨城県発祥は「丸に三つ引き」、福島県発祥は「抱き茗荷(みょうが)」をよく使うので、家紋が分かれば系統を判断できる。