全国名字めぐりの旅 第119回 茨城県（7）

全国で石塚さんが一番多いのは茨城県である。

　茨城県の石塚さんは茨城県東茨城郡城里町石塚から発祥した。
ルーツは第５６代清和天皇(８５０－８０)の流れをくむ清和源氏の子孫。
常陸国（茨城県）の名門佐竹義(よし)篤(あつ)の三男宗義が石塚の地に石塚城を築いて、石塚越後(えちごの)守(かみ)と名乗ったことに始まる。

　ところで天正３年（１５７５）ごろ。
石塚義国に瑠璃姫という姫がいた。
絶世の美女だったといわれ、佐竹一門の小場義宗と大山義則があの手この手で姫の歓心をかい、求婚してきた。
姫は小場を選び、朝日丸という男子を出産。
大山は嫉妬に狂っていたが、小田部孫九郎という家来を誕生祝の使者として送った。
ところが朝日丸は間もなく病気にかかって夭折してしまう。
このときも小田部孫九郎が弔問の使者としてやって来た。
しかし冷静さを失っていた小場は孫九郎の名前が「孫苦労」につながり縁起が悪いと激怒。
姫の実家石塚氏とともに大山氏を攻めたのである。
争いは三者の宗家である佐竹氏の仲介で和睦となったが、世にも珍しい戦の原因である。

　石塚さんがよく使う家紋は「五本骨扇」と「五つ鉄線」など。