全国名字めぐりの旅 第66回 福島県（15）

今回で福島県の名字を取り上げるのも最後である。
まだまだ紹介したい福島県から北海道へ伝えられた名字は多いが、きりがない。
最後なので、思いつくままに少しだけ挙げてみる。

　まずは目黒さん。
福島県出身の家が多い。
宮城県という家もあるが、元々は福島県の名族である。
名字の故郷は東京都の目黒区。
第３８代天智天皇の重臣藤原鎌足(６１４－６９)の流れをくむ武家藤原氏の子孫といわれ、現在の東京都から福島県に移って伊達政宗の先祖に仕えた。
その関係で後には宮城県にも広まった。

　円谷さんは「まるや」ではなく「つぶらや」と読む。
東京マラソンで銅メダルをとったあと、真面目すぎる性格のため自殺した円谷幸吉選手が有名だ。
円谷とは地名で、だんだんと小さくなっていった谷あいのこと。
円谷選手の家は「木瓜」紋を使っている。
白河市出身の新撰組隊士・沖田総司も同紋である。

　いわき市の上遠野から発祥した上遠野(かとおの)さんも福島の名族。
蛭田(ひるた)さんや添田さんも福島らしい。
最後に福島県の珍紋を一つ紹介しよう。
岩並家が使う「岩城檽子(れんじ)に月」。
檽子窓から眺めた月を家紋にしたもの。