名字ランキング 第33位　長谷川

名字博士と愛ちゃんが　長谷川姓について話しています。

「長谷川さんって、ナガタニガワが本来の読み方じゃない？」

「たしかにハセガワと読むのは変則だ」

「どうしてそう読むようになったの？」

「長谷をハセと読むのは奈良県桜井市にあった長谷(はつせ)郷に始まる。ここには泊(はつ)瀬(せ)川が流れていた。この川は上流にさかのぼると、だんだんと川幅(かわはば)が狭くなって長い谷になり、そして泊(は)せる（行き止まった）ところに長谷寺が建てられた。美人祈願、縁結び、安産祈願で有名なお寺だ。瀬（川の流れが速く浅いところ）が泊(は)せるので泊瀬川といい、後には初瀬川に変化した。また長い谷あいを流れる泊瀬川は、やがて長谷と書いてハツセと読まれるようになり、それが詰まってハセとなったわけだ」

「ややこしいわね」

「一言でいうと、長い谷を流れる泊(はつ)瀬川(せがわ)から長谷川が生まれたんだ」

「すっきりとわかりやすくなったわ」

「詳しく説明するのも考えものだな。長谷寺は初夏に咲く牡丹(ぼたん)の花が有名で、花の御寺という。花といえば第六五代花山天皇が深く帰依して何度も訪れ〈いくたびもまいる心ははつせ寺　山も誓いも深き谷川〉という御詠歌(ごえいか)をよまれた。この歌からも古くははつせ寺といっていたことがわかるね。そして長谷寺信仰とともに長谷川という地名や名字が各地に広まった。」