全国名字めぐりの旅 第127回 栃木県（3）

近代経済学の祖といわれる手塚寿郎は栃木県の出身。
手塚はフランスに留学中、経済学の世界的権威だったギュスターブ・シェルが売り出した蔵書１６００冊を買い集め、日本に持ち帰って「手塚・シェル文庫」を創設した。

　手塚さんが日本で一番多いのが栃木県。
そのルーツは二つあり、まずは宇都宮市にある羽黒山神社の神主だった手塚さん。
この手塚さんの出自は不詳だが、栃木県さくら市には手塚神社もあり、手塚さんも多い。
もう一つは信濃国（長野県）から移り住んできた手塚さん。
この手塚さんは諏訪大社の下社大祝(おおほうり)（神主）だった金(かな)刺(さし)氏の末裔といわれ、手塚光盛は源平合戦のころ木曽義仲の挙兵に参加して、平家の老将軍斎藤実盛を討ち取る軍功をあげた。
その子孫が蘭方医の手塚良仙。
彼の生涯はひ孫である手塚治虫によって『陽だまりの樹』という漫画にされた。

　栃木県の手塚さんはとにかく神社の神主と縁が深い。
神様に愛された名字である。
羽黒山神社の手塚さんは「剣片喰(かたばみ)」をよく使い、金刺姓の手塚さんは「立ち梶の葉」を使う。