全国名字めぐりの旅 第96回 石川県（6）

名字の８０％以上は地名から生まれている。
高橋は高台の端から、田中は田んぼの中の家から、吉田は湿地帯の葦原のことである。
東西南北の方向がついた地名も多く、これに川を組み合わせれば東川・西川・南川・北川の誕生。
東は日の出で出世をあらわし吉祥。
西は照りつける日の光が太陽信仰と結びつく。
南は言いづらいため地名も名字も少ない。
北は北極星や北斗七星など星信仰と結びついて縁起がいい。
ちなみに石川県で４姓の数を比べると北川さんは１０００軒を超え、西川さんはその半分くらい。
東川さんになるとぐっと少なくなり、南川さんでは１００軒以下。
北の陸には、やはり北川さんが多いわけだ。

石川県の北川さんのルーツを調べてみると、近江国（滋賀県）発祥の家が多い。
中世から滋賀県蒲生郡で栄えた名族だ。
第３８代天智天皇の重臣藤原鎌足(６１４－６９)の流れをくむ武家藤原氏・藤原秀郷の子孫で、蒲生(がもう)氏(うじ)郷(さと)の一族。
氏郷といえば織田信長の娘婿で、秀吉が「次の天下人は氏郷だ」と言ったほどの猛将である。
家紋は「鶴の丸」と「五三桐」をよく使う。