全国名字めぐりの旅 第54回 福島県（3）

福島県では県内を浜通り、中通り、内陸の三地域によく分ける。
浜通りはいわき市のある太平洋沿岸。
ここに住む人たちは開放的で明るい性格だといわれる。
中通りは福島市や郡山市のあたり。
この地域には新幹線が通っているため企業進出も盛んで、都会的なセンスの人が多い。
内陸は会津若松市やラーメンで有名な喜多方市の周辺。
ここは江戸時代、会津藩松平氏が支配していた地域なので、古武士のような頑固な人が多いという。
このうち中通りに多い名字が遠藤さんである。

遠藤という名字は遠江守(とおとうみのかみ)になった藤原氏という意味で、藤原維兼(これかね)が天延３年(９７５)に遠江守となり、遠藤と名乗ったことに始まる。
遠江守とは、現代風にいえば静岡県西部の知事のようなものである。
子孫は摂津国(大阪府)で栄え、のちには新天地を求めて奥州(東北)へ移住した家もあった。

福島県の遠藤さんで有名なのは、現在の福島市の寺の子として生まれた遠藤基信である。
基信は伊達政宗の父輝宗の懐刀(ふところかたな)といわれ、子孫は仙台藩重臣となった。
家紋は「九枚笹」や「十曜」をよく使う。