全国名字めぐりの旅 第39回 秋田県（13）

今回で秋田県の名字は終わる。
最後に紹介するのは茂木さんである。
この名字も「もてぎ」と「もぎ」という読み方がある。
秋田県では「もてぎ」さんが多い。

　秋田県の茂木さんで最も有名なのは江戸時代、秋田藩佐竹氏の重臣として十二所（現在の大館市十二所）の守将を務めた茂木(もてぎ)筑後であろう。
秋田藩にとって十二所は盛岡藩南部氏との藩境に近く、南部氏を抑える要所の地であった。
この地に秋田藩祖・佐竹義宣(よしのぶ)は猛将の誉れが高かった茂木筑後に１６０人以上の組下を付けて駐屯させたのである。
これを十二所給人という。
戊辰戦争のとき、南部兵が最初に襲った拠点も十二所であった。

　茂木筑後の祖先は現在の栃木県芳賀郡茂木(もてぎ)町の豪族である。
藤原北家の流れをくむ八田知家の三男がこの地に館を築いて茂木三郎知基と名乗ったことに始まる。
鎌倉時代は鎌倉将軍に仕え、室町時代も豪族として茂木の地に勢力を張っていたが、戦国時代になると隣国常陸（茨城県）の佐竹氏に侵略され、その家臣となった。
そして茂木筑後治良のとき佐竹義宣に従って常陸から秋田へ移り住んだのである。

　茂木筑後が秋田へ移住する以前から、秋田には茂木さんがいた。
小野寺氏や安東氏の家臣だった茂木氏である。
しかし、そのルーツはやはり茂木知基という。
家紋は珍しい「馬櫛(まぐし)」や「花州浜」紋など。