名字ランキング 第59位　石田

名字博士と愛ちゃんが　石田姓について話しています。

「石田さんといえば、石田三成を思い出すわね」

「三成には三献の茶というエピソードがある。秀吉が長浜城主だったころ、鷹狩りの帰りにのどが渇いたので寺に立ち寄って茶を所望(しょもう)した。そのとき対応した三成は大きめの茶碗にぬるめのお茶をいっぱい入れて差し出した。それを飲み干した秀吉はもう一杯ほしいといった。すると三成はやや小さめの茶碗にすこし熱いお茶を入れて出した。それも飲み干した秀吉はもう一杯所望した。最後に三成は小さな碗に熱いお茶を入れて出した。それを飲んだ秀吉は相手の心を読み取る三成の機転に感心して家来にしたという」

「のどが渇いているときはぬるいお茶を一気に飲みたいものよね。そして一息ついたら今度はお茶の味を感じながら飲むわよね。そして最後にはおいしいお茶をじっくり飲みたいわ。それを見抜いた三成って人は、現代風にいうと空気が読めるできる男って感じね」

「その通りだ。秀吉が三成を可愛がって片時(かたとき)もそばから話さなかった気持ちがわかるよ。三成がいると何事もスムーズに事が運んだのだろう。日本史上有数のデキる秘書官だったわけだ」

「三成は一六〇〇年の関が原合戦に敗れて処刑されたけど、子孫はいないの？」

「長男と三男は許されて出家し、二男は弘前藩（青森県弘前市）にかくまわれて杉山源吾と名乗り、家老になったといわれている。三成は石田の名字にふさわしく意思（石）を貫いた人物だった。」